2024年4月9日
木の家とは?木の家を建てるメリット・デメリットをご紹介
マイホームを検討する際には、何に重点を置いて考えるでしょうか。もちろん、価格やローンの支払いなど金銭面は重要ですが、同じくらい「家のデザインや性能が気になる」という方も多いかもしれません。住みやすくおしゃれなデザインで、人を呼びたくなるような家を思い描いているなら「木の家」がおすすめです。この記事では、木の家の特徴や魅力、デザイン例をご紹介しますので、家づくりの参考にしてください。
木の家とは
「木の家」は、正式な定義があるわけではありませんが、一般的にはヒノキやスギなどの天然木材を使用して建てられた家のことを指す場合が多いです。特に、国産の木材や無垢材(コーティングなどの加工がされていない木材)を使って建てた家が木の家と呼ばれることが少なくありません。
木の家はその見た目や感触の暖かさだけでなく、優れた機能も持ち合わせています。
木の家とは?木の家が持つ独自の魅力
木にはリラックス効果があり、視覚的にも触覚的にも癒やされます。木材独特の香りも、アロマオイルとして頻繁に使用されるほど人気です。気持ちが安らぐだけでなく、実際に健康にも良いという調査報告もあります。一日の中で多くの時間を過ごす家の環境は非常に大切といえるでしょう。
木の調湿効果や断熱性も過ごしやすさに一役買っています。湿気を吸収・放出する性質や断熱性によって室内の湿度や温度を一定に保つ働きをしてくれるからです。夏は涼しく冬は暖かい住宅を叶えてくれるのは木の家ならではの魅力といえるでしょう。
現代社会における木の家の役割
多くの問題が累積する現代社会においても、木の家は大きな役割を果たしています。
1つは、前述したリラックス効果です。ストレスが多いと言われる現代において、家に帰れば癒やしの空間が待っているというのは重要な意味を持ちます。木のぬくもりやすべすべとした肌触り、心地よい香りによって日々の疲れをほぐし、免疫力向上にも期待できるでしょう。
また、自然素材である木を家づくりに使うことはサステナビリティの視点から見ても意義があります。地元の木材を取り入れた家を建てることで、山林に手が入り適切に管理することが可能です。山林は放置しておくと荒れてしまい、豊かな生態系が崩れてしまいます。人の手を入れることは環境を支えることにつながるでしょう。
木の家を建てるメリット
木の家を建てるメリットは、以下の通りです。
- ● 調湿効果がある
- ● 吸音性が高い
- ● 衝撃吸収性に優れている
- ● リフレッシュ効果がある
- ● 断熱性が高い
- ● 耐久性が高い
- ● 加工しやすい
調湿効果がある
木材には湿気を吸収したり放出したりする効果があります。この調湿効果によって室内の湿度を安定させることが可能です。日本の夏は多湿ですが、木の家ならさらっと年中快適に過ごせます。
吸音性が高い
木材は音を吸収する性質も持っています。生活していると、思っている以上に生活音が出ていることも少なくありません。木材が音を吸収することで、他の部屋や下の階への騒音を抑えることが可能です。
衝撃吸収性に優れている
歩いたりお子さんが走り回ったりすると、音が出るだけでなく床に衝撃が加わります。木材は衝撃を吸収する性質があるため、足が疲れにくくなるのもメリットです。
リフレッシュ効果がある
木には、多くの人を引き付ける暖かさがあります。木目の模様には視覚的な癒やし効果があるとされており、「1/fゆらぎ」という独特なリズムを持っています。木目を見ているとなんとなく心地よい気持ちになるのは、それが理由かもしれません。
断熱性が高い
木は熱を伝えにくい性質があり、コンクリートや金属よりも断熱性に優れています。夏季は外の暑さから守り、冬季は室内の暖かさを閉じ込めます。「夏は涼しく、冬は暖かく」といわれるゆえんです。
耐久性が高い
乾燥した木は、非常に耐久性に富んでいます。この高温多湿な夏のある日本で何百年も前の寺院が現存していることからも、その強さに納得できるでしょう。メンテナンスは必要ですが、大事に使えば大変長持ちします。
加工しやすい
木材は金属などに比べ柔らかく加工しやすいのが特徴です。将来的にリフォームや増築することになったときに融通が利きやすいというメリットがあります。
木の家を建てるデメリット
メリットの多い木の家ですが、デメリットがないわけではありません。それを知らずに家を建ててしまうと後悔につながる可能性があります。デメリットも考えた上で家の検討をしましょう。
木の家のデメリットとして、以下の点が挙げられます。
- ● 雨漏りや高湿など水分に弱い
- ● シロアリ被害の可能性がある
- ● メンテナンスが必要
- ● 経年変化する
- ● 職人によって品質に差が出る
雨漏りや多湿など水分に弱い
調湿効果のある木材ですが、吸湿機能には限界があります。雨漏りや結露、換気不足などによっては木材がカビたり腐ったりしてしまう可能性が否定できません。
また、湿気の吸収や放出によって木材は変形します。無垢材は外環境の影響を受けやすいため、ヒビや割れなどはどうしても発生するでしょう。それによって耐久性が低下することはありませんが、変形する性質は踏まえた上での家づくりが必要です。
カビやシロアリ、ネズミ被害の可能性がある
良質な天然木と安定した環境は、シロアリやネズミなど人間にとって害のある生き物も集まってきます。シロアリなどに内部を食い荒らされてしまうと、家の強度が下がって倒壊のリスクが高まり、修繕が必要になってしまうでしょう。
湿気がこもらない環境にする、床を高くする、点検しやすい構造にする、シロアリが嫌う木を使うなどの対策と合わせて、定期的な点検や薬剤の散布で被害を減らせます。
こまめなメンテナンスが必要
木の家を良い状態で長持ちさせるためには、メンテナンスが欠かせません。外部の木の美しさを維持するためには、5年に1度程度の頻度で保護塗料を塗ることが望ましいです。
経年変化する
湿気によって変形する他にも、紫外線による変化もあります。風合いや色が変わっていくことは、デメリットというよりは木の特徴であり、エイジングともいえるような奥深さが感じられるでしょう。その変化を楽しめる人は問題ないですが、新築のままの色をずっと保ちたいと思っている人は注意が必要です。数十年後にどう変化しているかシミュレーションしておくことをおすすめします。
職人によって品質に差が出る
木は優れた素材ですが、自然の素材であるため、性質を十分に理解した人でなければうまく取り扱うことができません。施工業者や作業する職人の技量で品質が左右されやすいのが欠点です。
木の家に向いている人の特徴
木の家には多くの魅力がありますが、特におすすめしたい人の特徴は、以下の通りです。
- 自然素材の魅力を生活に取り入れたい人
- サステナブルな生活を求める人
- 木の家ならではのぬくもりとデザインに魅力を感じる人
自然素材の魅力を生活に取り入れたい人
できるだけ人工的なものを避けて自然なものを生活に取り入れたい、オーガニックや無添加が好きな人には木の家がぴったりです。スギやヒノキなど、自然の素材をふんだんに使用した家に住むことで、いつも暖かみを感じられます。
素材にこだわった木の家には、木材の他にも様々な自然素材が用いられます。断熱材や珪藻土、和紙など身体に優しい天然由来の素材を使った家なら、安心して暮らすことができるでしょう。裸足で過ごしたり、何でも舐めたりする小さなお子さんがいる子育て家庭にもオススメしたい住宅です。
サステナブルな生活を求める人
木の家は近隣の木材が使用されることが多いです。近くの山から材料を調達するため運搬も近距離で済み、省エネルギーでもあります。
海外から大量に木材を輸入してつくる家は安いですが、輸送のために余分なエネルギーを消費します。それは、エコやサステナブルを目指すこの時代の流れに矛盾するでしょう。
国産の木を使うことで、山がある地域に雇用が生まれ、使われたお金は還元されます。地産地消によって地域の未来を豊かにすることが可能です。目先の安さにとらわれず、地域活性化にもつながるサステナブルな生活をしたい人には木の家が向いています。
木の家ならではのぬくもりとデザインに魅力を感じる人
木の家には、自然な素材がもたらす温かみや優しい手触りなど、どこかホッとするような魅力があります。また、木材をインテリアのアクセントに取り入れた家はモダンでオシャレなデザインが多いのも特徴です。
木の家で失敗・後悔しないためのポイント
木の家をせっかく建てたのに、残念ながら当初の予想と反した結果になってしまうこともあります。よくある失敗は、「希望のデザインにできなかった」「予算オーバーしてしまった」「デザインを重視しすぎて機能や性能がおろそかになった」ケースなどです。
木の家で失敗・後悔しないためには、工務店選びの際に以下の点をチェックしてみてください。
- ● 信頼できる工務店を選ぶこと
- ● 予算管理と資金計画
- ● 木の家建築の設計とプランニング
信頼できる工務店を選ぶこと
木の家を建てるにあたって、工務店の力量は非常に重要です。工務店は自由度の高い家づくりができるからこそ、技術の差や安心して任せられる信頼関係を築けるかどうかがその後を左右します。
予算管理と資金計画
オシャレなエクステリアや便利な設備、オプションの壁紙やデザインなど、素敵な家にしようと思うとキリがありません。理想を追求すれば、当然費用は膨れ上がり簡単に予算をオーバーしてしまうでしょう。しかし、闇雲に予算を削っても後悔することになってしまいます。
見た目やデザイン性を優先するあまり、断熱性や防犯性の低い家になってしまったり、暮らしにくい間取りになってしまったりするのもよくある失敗例です。
まずは、年収からローン計画を立て、予算を組みましょう。このとき、無理のないローン返済を計画することが大切です。今後、収入の減少や支出が増える可能性も考慮して、返済額を設定してください。
次に、優先順位を付けていきます。土地や広さ、間取りなど「絶対に譲れない条件」が何なのか明確にしましょう。予算を念頭に置きながら、妥協点を決めていきます。
木の家建築の設計とプランニング
理想通りの木の家を建てるためには、設計やプランニングが非常に重要です。木の性質を熟知し、希望するデザインや間取りを実現する力のある工務店を選んでください。そのためには、要望に対するヒアリングの姿勢や、どんなプランを提案してくれるかしっかりチェックする必要があります。
「どんな要望でも実現できる」といった無責任な発言をする場合は注意が必要です。逆に、希望を何も汲み取ってくれない場合もやめておいたほうがいいかもしれません。
また、事前に工務店の公式サイトなどで施工事例に目を通しておき、どんなデザインの家が多いのか把握しておくことも大切です。その工務店の傾向や得意なデザインをチェックして、自分の理想の家に近いと感じる工務店を選びましょう。
木の家のオシャレな施工事例
中庭・坪庭を眺められるデザイン性の高い家(埼玉県本庄市)
https://www.kobaken.info/case/archives/14521/
和室の地窓やお風呂の窓など、家の色々な場所から庭を眺められるよう工夫されたつくりになっています。
天井や梁などの構造材もインテリアに組み込んだ例です。吹き抜けによって天井まで木材が見えて、木に囲まれている実感に包まれながら生活することが可能です。2階の手すりや壁など至るところに木材が使用されています。
玄関は土間になっています。シューズクロゼットの扉は一枚板が使用されており、木目が揃って美しい仕上がりです。
広々空間が魅力!どこか懐かしくおしゃれな和モダンの家(埼玉県本庄市早稲田)
https://www.kobaken.info/case/archives/13603/
明るすぎない間接照明が暖かく外観を照らしています。
平屋の広い空間に木材を使い、木の良さを存分に感じることのできる和の住居です。リビングと和室の間のふすまを開放することで広い空間を確保できます。区切れば客間としての利用も可能です。
横に広く開いた土間の玄関。和室にもそのまま上がることが可能です。手前のシューズボックスは木の種類を合わせてあり、統一感があります。
古材を大黒柱に利用した吹き抜けリビング(埼玉県熊谷市高柳)
https://www.kobaken.info/case/archives/14000/
高い丸窓は外から見ても特徴的なポイントです。窓の配置にもこだわりが光ります。
古材を大胆に起用して、家の大黒柱や梁にした例です。渋く貫禄のある古材が、リビングのアクセントとして効いています。木をふんだんに使った吹き抜けリビングに、曲線を描いた大黒柱がいい味を出しており、オリジナリティのある空間を演出。温もりのある広いリビングダイニングは家族の団欒にぴったりです。
まとめ
天然の木材を多く取り入れた木の家は、人にも環境にも優しく多くのメリットがあります。木の持つ魅力と共に生活したい人や木のあたたかみが好きな人、自然素材に触れながら子育てをしたい人などに特におすすめです。木材には水分に弱い点やカビ・虫の被害を受けやすい点など注意点もありますが、定期的なメンテナンスや対策によってリスクは軽減できます。木をインテリアに取り入れたデザインはオシャレでモダンなものが多く、近年特に人気です。信頼できる工務店を探して、理想の家づくりを実現させましょう。
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