2024年6月27日
無垢の家とは?無垢の家を建てるメリット・デメリットをご紹介
住まい購入を検討する際に重要なのは、どれだけ長く快適に住み続けられるかではないでしょうか。それを決めるにはどのような材料でつくられているかがポイントになるでしょう。昨今、アレルギーやシックハウスなどへの対策の関心が高まる中、無垢材でつくられた無垢の家は非常に有効です。また、断熱や衛生面でも効果があるとされています。本記事では、無垢の家がどのようなものか解説しますので、住まい選びの参考にしてください。
無垢の家とは
無垢の家とは、無垢材を使用した住まいのことです。無垢材は、床や柱、梁などに使われます。一本の木をそのまま切り出してつくった材木のことをいい、接着剤等を使わず自然の木を加工したものです。反対に複数の木を接着剤等で貼り合わせ、一定の強度まで加工したものを集成材と呼びます。無垢の家は化学製品を使用していないため、住む人にとって非常に優しい素材です。
無垢材とは?無垢材ならではの魅力
無垢材は、自然の木をそのまま利用した材木です。無垢材にはいくつかの特徴があるため、以下でご紹介します。
- ● 調湿機能を持っている
- ● 木の質感を楽しめる
- ● 経年変化を楽しめる
調湿機能を持っている
日本は湿気が多く、冬は室内で結露ができやすい環境です。結露は、室内の温度変化が大きかったり、湿度が高かったりした場合に発生しやすくなります。
この点、無垢材は空気中の水分を取り込んだり吐き出したりします。周囲の湿度が低い冬には空気中に湿気を放出し、湿度が高い夏には湿気を取り込むため、乾燥する時期には適度な湿度を保ち、ジメジメする時期には湿気の不快感を減らすことが可能です。これにより結露が起こりにくくなるほか、年間を通じて湿度変化が少なくなるため、快適に過ごせます。
また、結露はカビや害虫発生の要因となり得るため、アレルギーやシックハウス症候群の発生を抑制することも可能です。
木の質感を楽しめる
無垢の家は、自然の木の色味や優しい質感などを感じられ、心地よく過ごせるといわれています。また、無垢材の香りに魅力を感じる人も少なくありません。これはフィトンチッドという樹木が微生物などから守るために発する成分によるもので、人体にはリラックス効果があるとされています。桧風呂などに利用されるケースがあります。
経年変化を楽しめる
無垢材は無加工であるため、経年に伴い色や質感が変化します。長く住むことで変化していく風合いを楽しめるのも、無垢の家の醍醐味の一つです。
無垢の家の歴史と進化
日本は地震が頻繁に発生することから、倒壊しない建物が必要でした。伝統工法である木組みは木と木を組み合わせて金物を使わない工法で、揺れに強く日本の土地に合った工法だったのです。
木には微妙なクセがあり、職人はそれを読んで家の骨組みをつくります。数ヶ月単位の時間はかかりますが、現場に合わせて長さを調節したりなどの作業も可能です。最近ではプレカット工法という、工場でつくられて現場で組立てる工法もあり、主流となってきています。
ただし、無垢の家は水に弱かったり、傷つきやすかったりする特徴があります。また、日焼けにも弱いため、工法が進化してもメンテナンスは必要です。
無垢の家を建てるメリット
無垢の家を建てるメリットは、住む人にとって多くの快適さを実感できる点にあります。
- ● 自然の木のぬくもりを感じることができる
- ● リラックス効果がある
- ● 建物の断熱性が高い
- ● 足腰への負担が少ない
- ● 調湿機能がある
自然の木のぬくもりを感じることができる
無垢の家は天然の樹木を使用しているため、化学製品を使用していません。直接触れる手足は、ベタつきがなく、さらっとした木の質感を直に感じられます。熱伝導率が低いため、夏も冬も快適な温度で過ごせるのも魅力です。
リラックス効果がある
無垢の家に使われる木材が発するフィトンチッドという成分は、人体にリラックス効果をもたらすとされています。フィトンチッドは、木が菌や害虫から身を守るための成分です。殺菌効果や消臭効果があり、空気をきれいにしてくれるといわれています。伐採されたあとも効果があり、住まいでいえばカビ発生を抑制する効果やダニが寄り付かなくなるような防虫効果が期待できるでしょう。また、木が発する匂いにはストレスホルモンの減少や精神が安定する効果があります。
建物の断熱性が高い
無垢の家に使用される木材は熱伝導率が低いことで有名です。木の内部に空気を含んでいることが関係しており、コンクリートと比較しても熱が伝わりにくいことが分かっています。熱が伝わりにくいということは内部の熱が逃げにくく、外部の熱は内部に伝わりにくいということです。断熱性が高い住まいは、年間を通じて室内の温度差が少なく、住む方にとって快適な住まいとなるでしょう。
足腰への負担が少ない
無垢の家に取り入れる無垢の床板は足や腰への負担を軽減してくれるといったメリットもあります。コンクリートのように硬すぎる床は衝撃を吸収しないため、自分の重さが足に集中してしまい負担が大きくなります。逆に、砂場のような柔らかすぎる場所も、衝撃を吸収しやすい分余計に力を入れる必要があります。天然の木材であればほどよく弾力があり、歩いた時に足への衝撃を吸収してくれるため、足腰への負担が軽減されるのです。
調湿機能がある
無垢の家に使用される無垢材は、住宅になった後も呼吸をしています。室内の湿度を調湿するため夏も冬も快適に過ごすことが可能です。樹木はもともと多く水分を含んでおり、木材として使用しても水分を含んでいるため、室内の湿度を一定に保ちやすいです。
無垢の家を建てるデメリット
無垢の家では無加工で木本来の性質を利用しているため、木材の弱点がそのままデメリットに直結してしまいかねません。木の良さは欠点と紙一重でもあります。無垢材の特性をよく理解した上で、家づくりを検討しましょう。
- ● コストが高い
- ● 湿気や水分に弱い
- ● メンテナンスが必要
- ● 板ごとで微妙なズレがある
- ● 傷や凹みができる
- ● ホットカーペットや床暖房が使えない
コストが高い
一般的に、無垢の家に使われる木は種類も多く木目にこだわりなどがあるとコストが高くなりがちです。また、広葉樹と針葉樹でも価格差があり、成長が遅く耐久性の高い広葉樹は高価になる傾向があります。反対に、成長が早く流通量の多い針葉樹は安価な傾向です。ご自身の要望を十分にまとめておき、予算に合わせて判断しましょう。
湿気や水分に弱い
無垢材は調湿効果があるとはいえ、結露が発生して水分が染み込んでしまったり、換気が不十分だったりすると、カビが生える場合もあります。水分がついていることを確認したときには、すぐに拭き取るなどして対処しましょう。水や食べ物などをこぼした場合も同様です。多少こぼした程度では問題ありませんが、放置しないよう心がけてください。
メンテナンスが必要
無垢の家を長持ちさせるためには、定期的な点検や補修が必要です。シロアリやカビの被害を受けていないか確認し、木の質感を維持するための保護材を散布するなどしてメンテナンスしましょう。定期的なメンテナンスを行わないと、木の内部が腐食し、建物の強度が下がってしまいます。
板ごとで微妙なズレがある
樹木を切り出し使用するため、全く同じ無垢材はありません。日当たりの環境や土壌の状況によって微妙な個性が出てしまいます。不均一な木目は無垢材の魅力の一つですが、強度や反り、きしみ等、長い年月で見れば不具合が発生する可能性があります。建築時に品質のよい無垢材を選定できるよう、しっかり確認しましょう。
傷や凹みができる
無垢の家の木材は天然の木のため、加工をしていません。チップを圧縮してつくる合板と比較すると、どうしても傷や凹みができやすいのが実情です。これから家族が増えていく方にとっては、避けられない問題かもしれません。アイロンやヤスリで補修する方法があるので、事前に確認しておきましょう。
また、使用する木の種類によっても硬さが違います。木の種類による性質の違いをよく調べてから採用すると失敗を軽減することが可能です。
ホットカーペットや床暖房が使いづらい
無垢の家の場合、カーペット敷きや床暖房との相性を考慮しなければなりません。無垢材は温度変化によって、反りなど変形してしまう可能性があります。カーペットを敷くことで熱がこもるため、無垢の家とは相性が悪く、敷いている箇所だけ変色してしまうのです。一部床暖房対応の無垢材もありますが、多くは対応していません。
無垢の家の場合、カーペット敷きや床暖房との相性を考慮しなければなりません。
無垢の家に向いている人の特徴
メンテナンスが必要だったとしても無垢の家にこだわる方は少なくありません。以下に該当する場合は、無垢の家に向いているでしょう。
- ● 自然素材に囲まれた生活を望む人
- ● 健康と快適性を重視する人
- ● 持続可能な住まいを求める人
自然素材に囲まれた生活を望む人
無垢の家は、自然の木をそのまま利用しています。樹木そのものの香りや肌触りを実感することが可能です。裸足で生活したい方や、ご家族と寝転んだりしたいと考えている方には向いているといえます。
健康と快適性を重視する人
無垢の家で使用する無垢材は自然の樹木をそのまま利用するのが特徴です。アレルギーやシックハウスの原因となる化学物質を含んでいないため、からだに優しい環境で生活できます。また、木自体が呼吸をしているため、室内の湿度の調整が可能です。カビの抑制にも繋がるため、快適に過ごせるでしょう。
持続可能な住まいを求める人
近年は「SDGs」という言葉が浸透し、持続可能な社会であることが求められています。無垢材を利用する住まいは、地球環境に配慮し、断熱性、気密性の高い住まいは温度変化が少ないため、使用電力削減に繋がるでしょう。また、耐久性が高いため、建て替えや修繕等の余分な資源を使用する機会も減ります。
無垢の家で失敗・後悔しないためのポイント
一般的な木材よりも費用が高い無垢材を使い、せっかくこだわって建てる無垢の家ですから、なるべく失敗は避けたいところです。家づくりを成功させるために大切なのは、工事そのものだけではなく、他のステップにも十分注意を払う必要があります。
一般的な家づくりの主な流れは、以下の通りです。
- 情報収集・予算決定
- 建築会社や工務店を探す
- 土地を探す
- プランニング
- 見積もり
- 住宅ローン事前審査
- 打ち合わせ
- 契約
- 工事着工
- 竣工・引き渡し
このように、建築工事よりも前に何段階もの手順があることが分かります。一般的に無垢の家づくりで後悔した理由として、「無垢材の傷や水分への弱さ」といった無垢の家の性質に関するものや「予算が足りない」「ハウスメーカーと方向性が合わない」などがあるようです。これらの失敗を減らすために気をつけたいポイントをご紹介します。
- 事前の情報収集
- 適切な専門家の選定
- コストと品質の最適なバランスを見つける
事前の情報収集
住まいを検討するうえで、無垢の家はどのようなものか、自分たちのライフスタイルに合っているかなど、事前の情報収集が必要です。現在は様々な工法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。正しい情報で無垢の家についての理解を十分に深めた上で検討を進めましょう。
適切な専門家の選定
無垢の家を建てるためには、無垢材について十分な知識や経験を持った工務店の選定が重要です。家を建てる際の流れとして、まずどのような住まいを希望するかプランニングした後、現地で職人が建築します。建物が適正に完成することは大前提として、プランニングした内容通りに完成するかは工務店に関わる全ての人にかかっています。また、建築後のアフターメンテナンスや瑕疵があった場合の対応など、誠実に対応してもらえるかどうかも重要なポイントです。
コストと品質の最適なバランスを見つける
無垢の家は人気がありますが、決して安い買い物ではありません。また、こだわりのあまりインテリアや外構にも予算を追加したいと考えてしまう方も多いのではないでしょうか。一生に一度の買い物なので後悔したくはありませんが、支払いや返済ができないのでは意味がありません。自己資金があれば別ですが、住宅ローンを組む場合には、返済可能な範囲で予算を設定しましょう。
無垢の家のオシャレな施工事例
建て替え前の家の木材を生かした無垢の家(埼玉県上里町七本木)
https://www.kobaken.info/case/archives/13202/
横に広く設けられたデッキが目を引きます。大きな屋根も特徴的です。
無垢材が多く取り入れられている室内。建て替え前の材料を再利用しています。
木の香りとぬくもりを感じながらくつろげるリビング。
和室を区切る引き戸も木でできています。木目と畳は相性がよく、優しい雰囲気です。
庭との調和が美しい、広い窓のある家(埼玉県本庄市小島)
https://www.kobaken.info/case/archives/13305/
芝生や木々の緑と外観が美しく調和しています。ヒノキを使った住宅です。
天井を高く取り広がりのあるリビング。大きな窓から庭も見渡せます。
リビングと繋がる和室へは玄関から直接上がることができます。
猫と暮らす大きな屋根の家(埼玉県本庄市西富田)
https://www.kobaken.info/case/archives/18728/
南側に広く開けたつくりです。
光の差し込むリビング。全館冷暖房だから温度の変化に敏感なペットとの暮らしも安心です。
北側にある洗面脱衣所と浴室。天窓を採用することで明るい空間を演出しています。
まとめ
無垢の家は天然の素材を活かした、人と環境に優しい住宅です。無垢材にはリラックス効果や調湿作用など優れた点が多いことが特徴です。
しかし、いくつかの弱点があることも事実です。無垢の家で後悔しないためには、メリットとデメリットの両方を理解しておくことと、無垢材の特徴を熟知したハウスメーカーに依頼することが重要です。しっかりとメンテナンスをして使い込めば、長い年月をかけて熟成し、心地よい住まいとなってくれるのが無垢の家の魅力です。
無垢材の性質を最大限に活かし、オシャレな住居づくりを共にできる工務店を見極めましょう。
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